鳩一羽盛とおじさんの鳩の話~古き良き日本がここに~
2016.04.01 04:55|猟と獲物のお料理の話|
は~い!!
元女子高生とハンターのみなさん!!
今日は猟期中のお話と、
簡単なお料理のお写真です。
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元女子高生とハンターのみなさん!!
今日は猟期中のお話と、
簡単なお料理のお写真です。
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猟期というのは僕が外に頻繁に出かける唯一と言ってもよい期間で色々な人にお会いします。ハンターに嫌がらせをする農家もいますし、「じゃんじゃん獲って下さい」なんていう農家さんもいます。もちろん主夫太郎のブログ、愉快に運営したいので楽しいお話を今日もしたいと思いますよ。
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ある日、ある県で鉄砲を担いで猟場にいた時、脇の道をスーッと車が近づいてきて半分ほど舗装から車をはみ出させて停車した。おじさんがこっちを見ているので、「こんにちは」というとあちらも「どうも、こんにちは」なんて言うから、嫌がらせや苦情を言いに来たわけではなさそうなのでホッと一安心。
「どんなくらい獲れたい?」
とニコニコ聞くので、僕もニコニコしながら
「朝からやって鳩一羽です」
というと
「あははははは、一羽?どっから来たの?東京?東京から来て鳩一羽かい??あはははは」
と随分楽しそうだった。僕は鉄砲もうまくないし鳩は早いからなかなかあたらないのだけども、是非是非何羽もとって腹いっぱい食べたいと思っているわけでもないからこんなくらい楽しめればいいと思っているという話をしたら、
「そうだね。そんなに鳩があっても仕方ないよ」
と、このおじさん、やっぱりハンターでしかも「撃つのが好き派」な人らしいと思った。もちろん十分承知してるのだけども一応、
「お父さんも鉄砲撃つんですか?」
と聞いてみると、
「おれ?うん撃つよ」
と言ったあと、はにかみながら
「毎日!」
と付け加えてカラカラと笑った。今日はもう朝にでも撃ったのかと聞くと、
「今日は監視さ」
と言ったあと、車から出てきて本格的に話をするモードになった。まぁ、こうなるとお話が長くなって猟が終わってしまうのは毎度のことなんだが、僕はそれも含めて猟だと思っているのでゆっくり話を聞いてあわよくば情報など聞き出すことにしている。オジサンはあそこはうるさい奴がいてすぐ警察に通報されるとか、あの道から東は撃たないほうが無難だとかいう話をした。もともとそっちには行かないのだけどももちろんありがたく拝聴する。細かいことまで覚えていられないけど、もしかしたらいつか役に立つかもしれないからキーワードだけ覚えていることにしている。まぁ、そんなやりとりがあったあと、この近くはハンターがいないから伸び伸び撃てていいんだ、という話をしたら、
「いや、このあたり結構いるよ。この間だってさぁ、N市ナンバーの車の奴が来てたよ」
と言い、目をキッと吊り上げた。僕はこの猟場に通って3年目だが僕達以外のハンターを見たことがないからものすごく驚いた。おじさんはスイッチが入ってしまったらしく、
「そいつら声かけても挨拶しねぇし、道に出ても銃にカバーかけないから俺も腹立っちゃってさぁ、『銃カバーかけなきゃ、公道なんだから違法なんだぞ!』って言ってやったら謝りながらしぶしぶカバーかけてたよ。ほんとにルールを守らない奴ってのはだめなんだ」
なんて言うもんだから、僕はルールを守らないとすぐ警察に銃を取り上げられちゃうし、そもそも鉄砲撃たない一般人のハンターに対する印象も悪くなるからルールだけは守って欲しいものですよねというと、
「そうそう、ルールだけはね」
と言ってちょっと厳しい顔をした。はい、とこちらが返事してそれで話は終わるのかと思っていたら、おじさんは楽しくなったのか急に自分の猟の話をしはじめた。
「俺はもうさぁ、通報されたりするのも嫌だから空気銃撃つんだよ」
空気銃の方が弾は安いし音も大きくない。最近は空気銃から猟を始める若い人もいるくらいだから至極普通のことなので、
「あぁ、僕も欲しいといえば欲しいけど、鳥が止まってないと撃てないから今のスタイルと合わないんですよ」
と、僕も自分の状況を説明した。するとおじさんはどうやったら鳥が撃てるか教えたくなったらしく、凄く楽しそうに話しをしだした。
「一番いいのはねぇ、風の無い雨の日なんだよ」
おじさんは謎かけをしているみたいに僕を見て一瞬黙ったあと話しを続けた。
「風の無い雨の日はさ、鳩が電線に沢山とまるんだよ。そこを狙って撃つんだ」
と言ってにやりとした。えええ!!!まぁ、一応電線に当たらなきゃ違法じゃないけどそりゃギリギリの射撃だ!
「だって、電線撃ったら大変だから結構近づかなけりゃならないですよね。20メートルくらいまで近づくの大変じゃありません?」
と聞くと
「大丈夫、奴等は車はなんとも思わないから逃げないんだ」
とのこと。法律だと走行中の車の中からは撃ってはいけないのだが静止していればいいかというとそうでもない。実は道路上から撃ってはいけないという大前提があり、たいてい車は道路上にいるものだから普通の状態では車から撃てない。
「だけど車から撃つわけにはいかないですよね」
と、一応聞いてみると
「車から撃つんだよ。車から降りたら鳩にばれちゃうもの」
とおっしゃる。ルールを守るべきだと言っていたおじさんはなかなかアグレッシブだ。
「あれ、車から撃つって大丈夫ですか?」
と一応僕も言葉を選んで質問すると、おじさんは得意げになって
「そんなんわきゃねぇ(訳ない)、(車の)前見て後ろ見て(誰か見てないか確認して)撃ちゃいいんだよ」
と今度は楽しそうではあるが真顔だ。
「そうするとポトリって鳩が落ちるだろう。そうしたら拾ってまた車走らせてると奴等電線にとまってるんだよ。そんなの繰り返すと一日で20羽くらい獲れるな」
と凄く楽しそうだ。鳩は法律によると一日に1人あたり10羽までしか獲っちゃいけないんだけど、もはやその指摘は不要だと思った。おじさんはその後は射撃の話をちょっとしたあと、頃合いだと思ったのか
「じゃぁ、ルール守って楽しんでください」
と言って、車に乗ってぶ~んと走り去って行った。おじさんの言うルールとはなんだったのだろうかと思うと今でもつい笑ってしまう。
今はやたらと窮屈な世の中。ちょっとしたことでルール違反だとか、マナー違反だとかいろいろ言われて本当に嫌な時代だとも思う。特にネットでは自分が安全なところにいるので、いわば陸に向かって艦砲射撃という感じで自分のことを棚に上げた娯楽目的の卑怯な非難が飛び交う。失敗しない人はいないわけだが小さな失敗をすぐみんなで責めるような時代になってしまったようでなんだかちょっと悲しい気もしている。でも古き良き日本は、まぁ本当は「良き」かどうかは分からないけども、もう少し余裕があったのではないだろうか、そんな風に思う今日この頃。そう、こんなおじさんが普通にいる日本、今の時代ならアウトだろう、そんな日本が好きでした。おじさんはとにかく「挨拶くらいすりゃ、まぁ、適当に遊んで行けばいい」って気持ちなんだろうけど、地元の人に挨拶もできないからN市ナンバーのハンターの細かい違反に怒ったのだと思うな。今はまったく逆、挨拶なんて気に入らなければやる義務はないが鳩は10羽までだ!!なんて感じで、まぁ、どっちがいいと思うかは世代にもよるのかもしれない。
さて、そのおじさんが一日20羽も獲ってしまう鳩ですが、今回は照り焼きにしました。おじさんは「そんなに鳩があっても仕方ないよ」って言ってたけどついつい獲っちゃうんだね、多分。
一羽をさばき、お酒、生姜、砂糖、お醤油に漬ける
タレだけで味付けしようと思うとどうしても濃くなってしまうのでタレに漬ける前に少し塩を振って寝かしておきます。お酒とお醤油は同量、生姜と砂糖は好みで。お砂糖は少し多めの方が僕は好きですね。タレには長く漬けてもいいだろうけど、胸肉を赤い状態で食べたいので僕は結構浅く漬けます。タレも少な目で30分くらいかな。冷蔵庫で漬けると冷たくなって火を通しにくいので常温で漬けておきます。
胸肉はフライパンで何度かタレを付け直しながら焼き、モモ肉と砂肝と心臓は魚焼きのグリルで火を入れます。もちろんモモ肉も何度かタレをつけます。ささ身は小さいのでモモ肉を引き上げたあとのフライパンにタレを入れてタレが十分に煮詰まってきたところに投入したら火を止めて絡めるようにして余熱で仕上げますよ。胸肉は5分から10分くらい休めてから切ると肉汁があふれ出なくてすみます。
洋風な盛り付けだけど照り焼き
鳩の一羽盛!!
鳩の一羽盛!!
胸肉はレアに仕上げます
でも切るとき断面に触るとわかるのだけどちゃんと温かい、火が通った状態です。
肝臓・ささ身・砂肝・心臓
もちゃんとありますよ。来季も鳩がちゃんと獲れて美味しく頂ければいいなぁ。まだまだ冷凍のストックがありますけどね。猟期前までに食べ終わる予定です。
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