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プロフィール

Author:主夫太郎2
現在専業主夫です!
漁と猟の両方を楽しんでカミさんに栄養を供給するつもりでいます。以前お料理ブログをやってましたが不評だったので猟関係を交えながら僕の日常をレポートします。

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始めての射撃競技を~ららららラビット~

2016.06.30 16:18|雑文
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は~い!!

元女子高生と鉄砲好きの皆さ~ん!!

今日は射撃競技のお話です


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鉄砲という「武器」は遠くのものをやっつけるものですね。とくに散弾銃となると遠くの標的に向かって100発以上の小さな弾をばらまくという機能があり、これは空を飛ぶ鳥に対してものすごい威力を発揮します。鉄砲の練習・競技はクレー射撃と言われ、一般的には鳥を模した空飛ぶ円盤(焼き物)を狙い撃つものです.....が、公式競技ではないのですがもう一つ日本で体験できる射撃競技として「ラビット」というのがあります。その名の通り、こちらはラビット(兎)を模したクレーを狙い撃つもので、主夫太郎は一度はやってみたいと思っておりました。ただ、このラビットができる射場が少なく今までやってみるチャンスがありませんでした。富士山のふもとの須山射撃場にお邪魔して体験するチャンスがあり、今回はそのレポートです。動画もありますから鉄砲撃たない元女子高生も楽しんじゃって下さいね。

ラビット射出20160630

ラビットのクレーはこんな道を通って射出されます。樋みたいのをクレーが転がってきますが、これは射手からは小さな土手で隠れており見えません。手前の黒いシートが敷かれている道を通って射手の前に現れます。

ラビットクレーA20160630

クレーは空を飛ぶ必要がない代わりにまっすぐ転がらなければならないので形はタイヤのような形でバランスが取ってあります。まぁ、何はともあれ、どんな射撃が見てもらいましょうか。なるべく大きな画面で見て頂くとクレーも見えると思います。




簡単そうでしょう?兎はこんなに遅くない気もしますが、とにかく真っ直ぐ転がってくるのを待ち構えて撃つのだからもちろん簡単ですよ!!!な~んて言われて納得してしまったあなた!!それがそうでもないのよ。というのはねぇ......

ラビットの道20160630

これはクレーが転がる道です。競技の最初のころはこの道も綺麗なんだけど競技が進むと写真のように割れたクレーが散らばります。すると転がってきたクレーがこの破片を踏んで跳ねあがります。そう、まるで兎のように。そうなると当たらないのよ。そんな動画が撮れたのでそちらをどうぞ!



こうなるとギャラリーは盛り上がりますよ。運が悪いってのが当たらない理由だからみんな大笑い!かつ大喜び!!。動画でも「跳ねた!!」なんて声があがりますが競技中に歓声が沸くなど他の射撃競技ではありえないことです。「散弾銃の弾ってのはある程度広がるから少しくらい跳ねたって問題ないだろう??」って思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなふうに思う方は次の写真をどうぞ。

ラビットクレー20160630

クレーの真ん中に穴が開いてるでしょう?そう、弾は当たっているんですよ!!!でも一発位だと全然割れないです。中には2発当たっているのに割れないクレーもあります。ちゃんと当たらないとクレーって割れないんですよ。だから跳ねると本当に割れない。跳ねるだけでなく風が吹くと道からそれて見えなくなったりと色々なハプニングが起きますねぇ。そんな偶然に支配される競技が公式競技になるはずないのですが新年会の福笑いみたいな感じでみんな楽しんでいるようです。来年もまたやってみたいなぁって思います。



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恒例の猟友会射撃会・主夫太郎鉄砲修行中~脱臼前は鉄砲撃ってました~

2016.03.28 12:20|雑文
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は~い!!

元女子高生とハンターのみなさん!

怪我する前の鉄砲のお話です。

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転んで右肩を脱臼し、手術を受けた主夫太郎。なかなか体調は戻らないでしょうがとりあえず一つだけ記事をアップします。お料理がほとんど出来ない状態なので今後それほどネタが増えないと思うので更新はゆっくりになると思います。もっとも怪我治さなけりゃだからブログどころじゃないといえばブログどころじゃないんだけどさ、あははははは。

今日は怪我をする前の射撃会のお話、豪華動画付です。実は猟で使う弾は猟期中に消費するのが原則です。弾は標的射撃で使うものと猟で使うものは許可も別々に出ていてなかなか面倒な仕組み。記憶は確かじゃないけど申請すれば猟用の弾を来季まで保存できたと思うのだけどそんなことが面倒なので、みんな猟期終わりの射撃会で消費(残弾処理なんていいます)するようにしてます。あれ?猟で使う弾を標的射撃で使えるの?と思うかもしれませんが実はOK。逆に標的射撃用に買った弾は猟に使えません。ん~面倒くさいったらありゃしない。

今回参加したのは毎年恒例!残弾処理も一つの目的となっている我が猟友会のフィールド射撃大会です。フィールド射撃というのは2種類あるクレー射撃種目、トラップとスキートを両方やる(ルールは射撃会それぞれ)ものです。もちろん元女子高生はトラップもスキートもよく分からないでしょうから動画で解説しましょうかね。

まずはスキートからです。厳密な意味では主夫太郎はルール違反をしてます。もう少し銃を下げて構えないといけませんし、一番射台以外では挙銃練習はしてはいけないのですが、まぁ、そこは仲間内。緩いルールというよりマナーをもって運営されてゆきます。次の動画を見てみてね。



スキートというのは大ざっぱに言うと横から飛んでくるクレーを撃ち落す競技です。撃つ人が声をかけるとクレーが発射されてそれを銃を構えて撃ち落しますが必ずクレーは同じ軌道を飛びます。それじゃ当たりまくっちゃうから、場所を変えながら撃ちます。真後ろから出るクレーもあれば正面から飛んでくるクレーもあります。本当は撃つ人が合図してから3秒以内、いつでるか分からないというのが正式なルールだけど、今回は仲間内ということで声と同時にクレーがでるルール。1R目は15枚中13枚、2R目は15枚中8枚割りました。2R目は1R目と違う高さのクレーを撃ちますが慣れてないせいか成績が悪かったです。


さて、次はトラップという競技です。今回はクレーの射出口から10mのところに立って撃ちます。トラップというのは大ざっぱに言うと地面から飛び出るクレーを撃ち落す競技です。右に出るのか、左に出るのか、はたまた真っ直ぐでるのかは分かりません。スキートと違いどこを飛ぶか分からない反面、最初から銃を構えていても良いです。フィールド射撃大会の特徴なのですが、白いクレーが出た時は撃ってはいけません。撃つとマイナス一点。撃たないと一点もらえるので、白いクレーを撃つと2点の差が着いてしまいます。それはそれは注意しなければならないのですが、今回主夫太郎

白いクレー撃っちゃいました!

あははははは。がっかり具合が動画でもわかると思います。2回目の射撃は外していますが明らかに遅れています。落ち着けば当たるんだけどねぇ。まぁ、とにもかくにもご覧下さいませませ。



白いお皿を撃ってしまったときの「アウト~」というのは射撃場のオーナーの声です。カミさんも思わず吹き出していますね。基本的にはこの10mのトラップは外さないようにしなければなりませんが、白いクレーを撃ってしまって心が揺らぎ結局20枚中16枚を割りました。点数は14点です。白いクレー割っちゃうとつらいですねぇ。

さて、最後はダブルトラップといって、トラップの競技でなんとクレーが2枚同時に出ます!!ただし射出口から5mのところに立ち、クレーと射手は近い状態です。ここでは白いクレーが混じったら両方撃ってはいけません。このダブルトラップは40枚のクレーがでて、稼ぎどころ!!主夫太郎も気合いが入りました!気合いが入りすぎてある秘策を使います。それは、

ドーピング!!

ん~悪い雰囲気ぷんぷんですね。シャラポワもやってしまったドーピング。シャラポワって美人なのにドーピングやってましたねぇ。もっとも美人だけど身長が188センチあるそうでこんな美人とデートできてもずっと上を見ていることになりそうですね。いくら美人でも鼻の穴ばかりみていることになりそうですから雰囲気がでそうもないですな。もっとも家事だけで手いっぱいの主夫太郎には不倫なんてできませんよ。中には様々な障害を乗り越え、複数、例えば5人もの女性と不倫しちゃう人もいるそうですが僕にはそんなことはできませんねぇ。五体満足ということだけで女性にモテる夢は来世に持ち越すことにします。さて、ドーピングの内容ですが、弾をこっそり凄い弾に変えました!!散弾というのは御存知の通り、小さい弾がいくつも飛んでゆくのですが、おおざっぱに言うと小さい弾が沢山入っている弾を使いました!もちろん沢山弾が飛んでゆくから当たる確率も良くなるだろうと思いましてね。具体的には普段は総重量28グラムの鉛弾が飛んでゆく弾を使っているのですが今回は32グラムのを使いました。ん~これは凄いですよ。バンバン当たって仕方無いんじゃないかと思ったのですが、

弾が重たい分、

反動がでかく、

二発目が撃ちにくい!!


ってことを当日知りました!!あははははははは。ダブルトラップは二枚目をいかに取るかで勝負がわかれますからこれは致命的でした!!40枚中28枚という結果。32枚は欲しかったです~~~。まぁ、そんなおまぬけな結果でしたが、当たったカッコいい所をどうぞご覧ください!!




ちなみにドーピングと言っても違反ではないです(笑)ちょっと抜け駆けしようとしただけです。来年はいつも通りの28グラムでやろうと思います。

結局は去年より2枚ほど多く割れました(白いお皿抜いてもね)。もう少し上手くなってると思ったのだけども猟期明けこんなものですかね。少しだけ首も曲がっちゃってますし反省材料は山ほど。来年はもっと沢山当てたいですよん。


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おしらせ

2016.03.25 08:55|雑文
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主夫太郎

ただいま肩を脱臼して、

負傷中です。

ブログの更新滞ります。

来週復活予定です。
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主夫太郎アーカイブス~渋川テアトル~

2016.02.25 15:08|雑文
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は~い!!

元女子高生のみなさ~ん!!

最近諸々の事情で忙しいので、

今回は主夫太郎アーカイブスです。

映画のお話です。

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以前の全く人気の無い僕のブログ「隠居な男の主夫ブログ」からのお引越し記事です。映画が若いころとても好きで随分と古い映画をビデオで見ていたのだけども、そんな切っ掛けになった小学生のころのお話です。結構古い記事だから、今の読者さんは殆どの方が読んでないと思います。お暇な時にでも。

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渋川テアトル

小学校の低学年という大昔の出来ごとであるにもかかわらず、映画というものに興味をもった瞬間というのを今でも鮮明に覚えている。お袋と兄貴が女優について話をしていた。
「ヘップバーンは可愛いいな」
と兄貴が言うと、すかさずお袋が
「バーグマンもいいよ。悪く言う人いないよ」
という程度の話だったけれども、男だか女だか想像さえつかない外人の名前が(そりゃ苗字だからねぇ)いかにも常識のように語られているのが随分と大人の匂いがして、うんと憧れてしまった。それにバーグマンという響きがとても気に入ったのもあって、ヘップバーンよりもバーグマンにその後憧れるようになる。
映画館に行くのは、この会話を聞いたずっと後だけれども、これが映画との出会いと言っていいと思う。

うんと興味を持ったものの、インターネットも何もない時代で、自分のお小遣いもない頃だから本を買うという発想もないので、バーグマンやヘップバーンがどんなものか全く分からなかった。

とにかく映画を見てると出てくるらしいので、その後は映画というものには敏感になって、土曜のお昼過ぎにテレビ東京(当時は東京12チャンネル)でやってる映画を、本当は退屈な映画もあったけれども、バーグマンやらヘップバーンが出てくるのを楽しみになるべく見るようにしていた。果たして映画に出ている美人がバーグマンなのかどうかは僕には皆目解らないのだけれども、
「バーグマンは品があるよぅ、こんなんじゃないよ」
なんて、たまに一緒に見るお袋が言うものだから、大抵品が無い奴はバーグマンでないと断言ができた。
しばらくするとバーグマンなんてものは、滅多に出てこないのだと子供心に分かったのだけれども、それでも食い入る様に見ていたおかげで、番組の最後に映画の役名と女優とアテレコの声優の名前がテロップで紹介されていることに気付いた。ほんの一瞬しか出ないので、アテレコの声優の名前に気を取られてはいけないし、役名を見ているうちに消えてしまうので全神経を集中してテロップを「映像として」記憶するように努力していた。

慣れてくると結構読み取れるもので、
「今日もバーグマンではなかった」
などと言ってがっかりした日もあれば、バーグマンではないけれどもカッコイイ俳優の名前や美人の女優の名前を覚えたりして、独り言みたいに名前を繰り返し言ってみたりして楽しんでいた。キャンディス・バーゲンなんて一回しか見てないけど、何度も口にしたから、名前だけは覚えている。

そもそも「映画」の定義を知らなかった。ドラマみたいに毎週見るものではなく、一回コッキリの番組という認識だったけれども、どうも映画館という所で最初は見ることが出来て、そのあとテレビで放送されるという仕組みであることは、しばらくすると子供にも理解が出来た。
また、テレビは一回見逃すといつ見られるか分からないけれども、映画館はしばらくやっているということも、何処で知ったのか、多分友達から聞いたのだろうな、理解するようになって、そうなると全くもって自然の成り行きで映画というものを映画館というところで見たくなった。

お袋に聞いてみると渋川(僕が育った群馬の田舎)にも一軒だけ「渋川テアトル」という映画館がある。
そこに連れていけというと、「あんなところに行くもんじゃない」とか「何の映画をみるんだ」とかそんなことばかり言って一向に連れて行ってくれなかった。そんなおりだが、間がいいのか悪いのか、それとも渋川テアトルに行きたいという気持ちがとても強いから普段は気付かなかったものが気付くようになったのか、小学校の門の前で渋川テアトルの従業員がビラを配っているのに出くわした。そのビラを持って帰って「これが見たい」とお袋に直訴したのを覚えている。映画は「ブッシュマン」だった。
「そんな下らない映画なんて見なくていいよ」と言って却下されてしまったから、矢張り見に行けなかったけれども、そのせいか、ブッシュマンのビラというのは今でもオボロゲながらだけれども覚えている。
コーラの空き瓶をアフリカの原住民の子供が覗いていて、やっぱりアフリカの原住民である主人公のニカウさんが弓を持って立っている。そんな写真だったと思う。しかし、今考えてもお袋自身が見てもいない映画を「そんな下らない映画なんて見なくていいよ」と言い切るのは、子供に全然反論の余地を与えない凄い却下の仕方だとは思うが、昭和10年生まれの母親としては普通に子供の提言を拒否するセリフだったのだろう。もちろん恨んではいないけれども、今の僕にはできない凄い芸当だと思う。

とにかくそんなんで渋川テアトルというのは、本当は渋川のどこにあるのか知らなかったけれども
「憧れの聖地」になってしまった。ブッシュマンは終わってしまったろうし、見たい映画というものがその後あったわけではないので、寝ても覚めてもというわけではなかったけれどもチョクチョク僕の頭の片隅に出てくるものになってはいた。

時は過ぎて、小学校の5年生になったときに、休み時間に、ふっと「渋川テアトルいきてぇなぁ」と言ったことがあった。するとスカさず同級生から「太郎スケベだぁ」と言われてびっくりした。「何がスケベなんだよ!」というと同級生は笑って教えてくれない。だけれども僕が執拗に理由を聞くものだから笑いながら途切れ途切れにそいつは教えてくれた。
「ひひ、渋川テアトルの看板を、はは、見たことあるんか?」
「ねぇな」
「看板には女の裸があってな、へへ、その女のパイコハンには、へへ、赤い紐が蝶々結びで結んであるんだ, スケベ!!」
未だ純真だった僕は一気に顔が赤くなったのだけれども、どうしようもなかった。
ブッシュマンと女の裸は全然結びつかなかったけれども(よく考えれば両方とも裸だけれども)、
行ってはいけないところらしいということは分かった。

当時の僕が赤面するのは無理もないが、そんな看板の理由は全然大したことではないことだった。
あの時代は映画館は斜陽で、稼ぐとなると「日活ポルノ系」で夜に稼ぐしかなかったのだろう。昼間はブッシュマンなぞをやってはいても、それだけでは人口4万人の渋川市では映画館を支えるだけの文化的レベルがない。だから看板にはブッシュマンもあれば「パイコハン」もあったというわけ。

しかしパイコハン(「舞妓はん」と同じイントネーション)というのは、凄い言葉のセンスだと今でも思う。
そいつが思いついたのか、そいつの家族ではパイコハンといっていたのか分からないし、当時のテレビではそう言っていたのかもしれない。恐らく場面によって「乳房」だったり「乳首」だったりするのだろうけれども、その後僕は一度も「パイコハン」という言葉を聞いていない。

何はともあれ、そんなこんなで渋川テアトルというのは「崇高なる憧れの聖地」からは転げ落ちたけれども、小学校6年生の時にちょっとしたキッカケで行けることになった。6年生の担任の小島先生は僕をよく可愛がってくれたし、そのことはお袋もよく承知していて、小島先生に感謝していて尊敬もしていた。
その先生が授業の雑談のなかで、「ロンリー・ウェイ」という映画がとてもよかったという話をしてくれた。観に行ったらどうだという。そのときどういうわけか小島先生が渋川テアトルのチラシを持っていて、それを家に持って帰ってお袋に「小島先生も良い映画だと行っていたよ」と付け加えたら、
「行ってくればいいがね」
と、さも前から渋川テアトルに息子を行かせたかったみたいな返事をした。
あの時のお袋の豹変ぶりというのは、驚いただけで全く理解が出来なかったけれども、まぁ、今なら納得することではある。とにかく映画館に行く前の日や当日というのは、本当にわくわくした。小島先生効果なのか、僕がイマイチ場所を理解できないせいなのか、お袋が車で送ってくれるというVIPな待遇付で、映画館の入り口に車で横付けという、文章だけで説明すると本当に映画スターのような「映画館デビュー」となった。

渋川テアトルの前は一方通行の狭い一車線の道が一本通っていて,道の反対側は平沢川というドブ川みたいな川が流れている。入り口は引き戸で切符売り場は引き戸を入ってすぐに小さな机が置いてあってそこでおじさんが切符を売っているという感じだった。とにかく当時でも古い古い建物だった。
それから入ってすぐ左側は売店になっていて、カールだのジュースだのが売っていた。
そもそもいつ頃から置いてあるか分からないカールだったけどもそれを買って食べながら映画をみたいと思った。当時我が家は買い食いはしちゃいけないことになっていたので、お袋は余計にお金を持たせてくれたけれども買わずに映画館の重たい防音扉を開けて中に入った。
事前の情報によると、渋川テアトルは「便所の匂いがする」映画館ということだったがそんなことはなかった。客席がどれほどの数か分からないけど、結構広くて、舞台の奥にスクリーンが設置されていた。とても芝居ができるような舞台ではないので、やっぱり映画専用だったのだろうけど、だからといって舞台挨拶に俳優が来るようなところでもなかったから、ああいう造りが一時期流行ったのだろう。
すこしカビ臭かったのか、よく覚えてないけど独特の匂いがして、でも僕はとても好きになった。一番前の席で、その後の僕の指定席になるのだけれども、映画が始まるのを待った。

小島先生ご推奨の「ロンリーウェイ」は、東京オリンピック、1万メートルのアメリカ代表選手(ビリー・ミルズ)の苦労話だった。インディアンなので差別されて、スポンサーも付かないので、靴も借り物でオリンピックに出たなんていう話がそれなりに僕を感動させた。人種差別なんて下らないものはこの世からなくなるベキだと思ったのをはっきり覚えている。

同時上映は「風の谷のナウシカ」でこれもうんとよかった。
垂直尾翼もない、物理的に飛びそうもない飛行機(メーヴェ)に乗ってるナウシカがとても凛々しくて、ナウシカみたいな嫁さんが欲しいなと思っちゃったんだけど、今考えても大分マセていたな。「銀河鉄道999」のメーテルも好きだったけど、メーテルより身近に感じた。本当はどっちも全然身近でないけど。
お袋との約束通りに買い食いもしないで2本の映画を見て本当に満足して映画館を出た。
本当は「映画が終わったら迎えに行くから電話しなさい」って言われてたけども、感動を一人で噛みしめたくて、家までトボトボと1時間くらいかけて歩いて帰った。

僕があんまり映画が良かったって話をしたからなのか、一度許可して「ダメ」という根拠が薄れてしまったのか、その後お袋は渋川テアトルに僕が行くのをダメと言わなくなった。「パイコハン効果」で少年たちが寄り付かないのかとも思っていたが、案外同級生なんかも見かけたりしたから前述のパイコハンは、そいつだけが意識していただけなのかも知れない。
それから、とうとうパイコハンの看板は確認をしなかった。自分の中で何かがガシャンと崩れてしまう気がして、どうしてもその看板を見上げる気にはなれなかったのだが、乳首に蝶々結びのヒモという、恐らく一生目にすることのない、芸術なんだか単なるエロいんだかで意図の全く分からない構図の看板を見ておけばよかったと,今ではちょっぴりと後悔している。


あんなに渋川テアトルに行くなと言っていたお袋は、実は映画好きだったこともその後に分かった。ビクター・マチュァが好きだったの、モーリン・オハラの素敵なドレスがどうのだの、「石の花」という映画のエンディングがとてもよかっただのと随分雄弁で、「遅く生まれてきたお前には、ああいう良さは分からないだろう」といった感じで上から物をいうものだから、そりゃお袋より早く生まれることは出来ないけれど、いつか僕だって映画に詳しくなってやるんだと思っていた。

そんな決心をしたしばらく後だったかな、お袋が「昔は映画好きってのは朝から晩まで映画館に居て、ずっと映画を見ていたんだよ。お弁当なんか持っていってさ、何度も同じ映画をみるんさ」というのを聞いたとき、
「よし、そいつを俺もやってみよう」
という気になった。お袋は口ぶりから言って、そんなことをしたことが無いようだったから、僕がそんなことをやってみればお袋をちょっとでも超えられる様な気がした。

今の映画館は一本見終わると入れ替えがあって、劇場を追い出されてしまうけれども、当時の映画館というのは「視聴料」ではなく「入場料」を取るだけなので、確かに、一度入ってしまえば閉館するまで居座ることが出来た。

「ねぇ、今度の日曜日、渋川テアトルに行きたいんだけどさぁ、午前中から行って、夕飯前に帰ってこようと思うんだけど。お弁当作っておくれよ。」
「なんだい、随分と映画観るんだねぇ。まぁ、いいよ、行っといでぇね」
と、案外とんとん拍子に話が進んで丸一日映画館体験をすることになった。

なるべく長くいる方が映画通になれるんだという思い込みがあったから、
「明日は何時に行くんだい?」
とお袋に聞かれたとき、
「8時ころに着くように、7時半に出ようと思うんだけど」
と言った。当時は社会の仕組みなんて全く知らなかったもんだから、学校が始まる時分には世のなか全部が動いているのだろうと思い込んでいたので、僕にとっては普通の答えだったのだけれども、流石にお袋は驚いた。

「テアトルがそんなに早くからやってるんかい?早くても10時ころだと思うけど?」

本当に適切なアドバイスだったと今考えれば思う。でもヒネクレ小僧だった僕は、なんかお袋が僕の一日映画館体験を邪魔しているように思えた。なんとしてでも一本目の映画から最前列で見て一日を過ごす決心をしていた僕としては、10時というのは、根拠は一つもないのだけれども、本当に「遅すぎ」と思えた。
「テアトルに電話したらどうだい?もし早すぎたらどうするんだね」
とお袋が訪ねた。
「いいよ。待ってるから」
「待ってるったって、アンタ、どこでさ?」半笑いでお袋が訪ねてきた。
「テアトルの前で」
「馬鹿だね、雨でも降りゃ困るがね」
「テアトルにはヒサシがあるから平気だよ。」
ああいえばこういうで、ついにお袋が根負けして、さらにお袋からすれば朝食と弁当を一遍につくる決心をして、7時半に出かけるという予定が確定された。



日曜の朝7時は空気が澄んでいた。テアトルがある街の方面に自転車をこいでみて、これがいつもの渋川の街なのかというほど空気が澄んでいた。車道を自転車で走ってもあんまり車に会わないし、知っている店のシャッターがほとんど閉まっていた。雀の数が随分多いなとも思った。早くテアトルに着きたいから立ちこぎをしていたけども、さらに車道を広々と使えるので、予定より何分も早く着いた。
テアトルの前も、しんとしていた。引き戸のガラスから中をのぞいて見ても、いつも大した数の客がいないんだけど、客が少ないという感じではなくてヒトケが感じられなかった。要するにテアトルはお袋の予言通り、まだ、やってなかったのだ。

雨が降ったらどうするという心配はしなくていいくらい晴れていたけれども、テアトルのヒサシを見上げてみるとヒサシはあるにはあるが雨やどり出来るような代物ではなかった。本当に雨でも降ってたら、お袋に強がりを言ったのを本当に後悔したと思う。入り口の引き戸のわきには今日上映する映画のポスターが貼ってあって、手書きのタイムテーブルもあった。10時半がスタートだった。

僕は弁当を抱えたまま、テアトルの入り口に座って、アスファルトの凸凹を見ながらボーとしていた。
それから、朝の優しい日差しが少しづつ強くなって行くのを観察して、いい加減眩しくなったから、今度はポスターを何度も見たりした。それから以前テアトルで見た映画を思い出したりした時だった、一時間くらい経ったころだと思うけれども、テアトルの引き戸がジャラジャラと音を立てて開かれた。

中から出てきたオジサンは、僕と目を合わせてびっくりして訪ねてきた。
「ボク、どうしたんだい?」
「映画観にきました」
「えっ?まだ9時だよ。10時半からだけど」
「うん、待ってる」
「そんな所に座ってないで中に入る?」
「別にいい。待ってる」
「そうかい。じゃ、もう少し待っててね」
といった会話があって、オジサンは箒で掃除を始めた。
僕はきれいになって行く入り口のコンクリートの床を焦点が定まらない目でみていた。
汚いとか臭いとか悪口を言われていたテアトルだったけれどもちゃんと掃除をしていたんだなと感心した。
そのうち入り口付近の掃除も終わって、おじさんはまた、引き戸をしめて中に入っていなくなってしまった。中に入れてくれるんなら入れてもらえば良かったなぁ、と思ったけども映画館の外で一心に映画が始まるのを待っている自分も大いに気に入っていたので、まぁ、いいかなとも思った。

しばらくすると、またまたジャラジャラジャラと引き戸が開いて、さっきのオジサンが僕に声をかけた。
「ボク、中にお入りよ。いいもん見せてやるから」
言われるままに開館前のテアトルに入った。
「その机に荷物置いて、こっちだよ」
テアトルは引き戸をくぐると、いつもは左に行くのだが右の方でオジサンが呼んでいる。
何か暗そうでちょっと怖かったけど「いいもん」が何なのか興味があって行ってみた。するとオジサンは手招きしながら、急な階段をコツコツと上がってゆく。木で出来た本当に急な階段で手すりなんかないから、おっかなびっくりで、ゆっくりとオジサンを追いかけた。

登り切るとそこはちょっと暗くて目が慣れるまでしばらくかかった。
目が慣れるとオジサンがさらに奥に立ってるのが分かったので行ってみると大きな機械が目に入った。
「カメラだ!」と僕は叫んだ。
「カメラじゃなくて映写機っていうんだよ。カメラは映画を撮る方で、こっちは映す方だ」
というオジサンの説明があった。

僕は探検をして宝物を見つけたようなドキドキな感覚で映写機というものを見ていた。映写機のある部屋は、ほこりっぽくて狭かった。道路に面した隙間の様に小さな窓はテアトルの看板、パイコハン看板の上あたりに位置すると思われた。向こうから見えないだろう窓から、平沢川や道路を見下ろすと秘密基地からあたりを伺っているようで、少年の僕の心はムンズリとこの部屋に掴まれてしまった。

オジサンは得意になって映写機の話をしてくれた。当時の僕には映写機の仕組みを完全に理解することは出来なかったのだけれども、中に電球が入っていて、その前をフィルムが通ると、前方のスクリーンに映画が映し出されるということは理解ができた。
「この電球って凄く明るいの?」
と当たり前のことだけど聞いて見た。
「凄いよ、ほら」
といってオジサンは僕の期待通りにスイッチを入れて、電球を光らせてくれた。
「すげぇ」
「そうだろう?昔はこの電球が熱くて映画が燃えちゃったんだよ」
「え?燃えちゃうの?火事になっちゃう。」
「だから一所懸命消すんさ。」といいながらオジサンは笑った。
「へー。あれ、これなんだろう?」
といって僕は映写機から上に伸びているハコを積み上げたようなものを指差した。
「これは、煙突だよ。外につながっているんだ。これがないと困るんだよ」
「煙突?市民会館のやつにも煙突が付いてるの?テアトルのが古いから?」
「はは、煙突が付いてない映写機なんてないよ。どこのにもある。市民会館のと同じさ」
オジサンはやっぱり得意気だった。最新の機械と遜色ないという自慢というより渋川テアトルという映画館自体を誇りに思ってるみたいに見えた。煙突の正体は、今考えてみれば、電球で発生した熱を逃がすための排気ダクトだったと分かるけれども、煙突なんて言われると映写機が蒸気機関車みたいな動力で動いていることを想像してしまって、途端に謎があふれる機械に見えてきて、これを操作するオジサンがとても格好良くみえてきた。

そのあと、映画のフィルムは一本では済まないから、リールを取り替えなければならない。
取り替えている間に映画をお休みするわけにはいかないから映写機が二台あって、かわりばんこに映しているのだ、なんて話を聞いてうんと感動した。2台の映写機の間にある小窓から映画館の中を上から覗いてみると、いつもの僕の指定席まではっきり見えた。「どうだい?満足したかい?」おじさんの一言に僕は「はい」と素直に応えられた。

その日観た映画は全然覚えていない。ただ、チョクチョクと後方の映写室の方を見上げて「今は右のやつが映してるんだな」、「左のに変わった」、「あ、今オジサンがあの小窓から映画を見ていた」なんて楽しんだのは覚えている。

友達の中にはテアトルを馬鹿にする奴もいた。
「テアトルでやる映画は何箇所もカットされてるんだ。たまに何も映らなくなるだろう。あそこがカットされたところだ」と知ったかぶっていた。それは映写機の交代に僅か手間取っただけで、カットなんかでは無いことを僕は知っていた。だって、映写機の仕組みを見せてもらったから。だからそいつに説明してやっても良かったけど、黙っていた。


中学生になってからも何回かテアトルには通った。持ち込んだジュースを売店のおばあさんに見つかって、怒られるのかと思ったら、「映画が始まるまで冷やしておいてあげるよ」なんて言われたのもいい思い出だ。今だったらお礼にひとつくらいお菓子でも買うのに、あの時は買えなかった。

いつだったかなぁ、テアトルが無くなったのは。どうしても思い出せない。
「客が持ち込んだジュースなんか冷やしてるからつぶれちゃったんだよ」なんて面白可笑しく友達には
話をしていたけども、本当は寂しかった。今、平成の世、映画館の裏側の映写室を、どこのどいつか分からないガキンチョに見せてくれるなんてことは、まずないだろう。持ち込みのジュースを冷やしてくれる売店の売り子なんて絶対いないだろう。昭和の呑気な時代だからありうる出来事・経験だと思っている。

おかげで僕は映画がその後もますます好きになって、あのボロいテアトルにふさわしい白黒映画を、
レンタルビデオだけれども、よくみるようになった。憧れのバーグマンとも、レンタルビデオだったけど、初対面を果たせたが、できれば昔の恋人であるボガードを見つめながら流す彼女の美しい涙を、渋川テアトルの銀幕で見てみたかったと思う。

昭和の時代とともに平沢川の脇に静かに生きていた渋川テアトルから何をもらったのかは、弱冠39歳の現在の僕では、うまく言葉に出来ない。無理に言葉にすると、何か足りないようで、言葉を補うと嘘が混ざる気がする。
でも、僕の体の一部に、しかも重要な一部になっている気がする。もう少し歳をとってみるとちゃんと説明が出来るのかもしれないので未来の僕に期待しながら、大事な思い出として取っておこうと思っている。




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主夫太郎アーカイブス~スーパーマンになった夢~

2015.10.09 08:00|雑文
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は~い!!!

元女子高生のみなさ~ん!!

主夫太郎は今は北海道です。

その間に「隠居な男の主夫ブログから」

記事をお引越ししますよ~

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以前僕がやっていたブログ、「隠居な男の主夫ブログ」というのはそこそこの人気が今考えるとあったのかもしれないが、とにかく文章が長いものがあって読みずらい。とはいっても折角長い文章を書いたのだからいつかは閉じるであろう前のブログから僕が北海道に留守の間に「主夫太郎アーカイブ」として自動更新機能を使いこっちに引っ越しさせることにしました。ですから以前からの読者さんにとっては新しくもなんともない記事ですので読まなくても同じですよ。全く主夫太郎の都合での更新です。ではどうぞ!

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いつもの通り夢というのは少し支離滅裂なんだけど、セリフなどを補完してみた。もう少し色々なこともあったとおもうのだけど、ちょっと思い出せない。なんにしろ目が覚めたあと忙しかったからだ。ということで夢の話のはじまりはじまり。

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僕は家の食卓に座っていたのだけども、なぜか目の前に汚らしい年取った男がいて、いきなり僕に問いかけた。

「君は何になりたい?」

なんだろう、藪から棒にこの質問は。僕は事態を整理したかったので素直に質問をさせてもらうことにした。

「あなたは誰ですか?」

するととても軽い感じで、

「ん?神様」

と応えた。どう考えても嘘だろうから追い出してもよかったのだけども、ちょっと気になることがあったので聞いてみた。

「自分で『様』付けるの?」

「みんなが様付けるから最近はあらかじめ自分で様つけるのが主流なんだ」

といった。これとは関係ないが思い当たることではあった。以前勤めていたところから返信用の封筒が届いたとき「御中」とあらかじめ書いてあったが、きっとあんな感じなのだろう。あのとき僕は先方の書いた「御中」をわざわざ斜線で消して、となりに「御中」と書いてやったが、考えてみるとあの時点で社会からはみ出しかけていたのだとは思う。ところで「主流」ってなんだろう。他にもこんな奴が一杯いるのかなぁ。

「そんでさ、何になりたい?折角だから言ってくれ。」

と、また神様と名乗る男が凄いことを軽く言っている。折角ってのがよくわからないが、もし本当だったら折角といえば折角だ。でも一応聞いてみた。

「言えばそれになれるのか?」

「うん、してやるよ。女だって外人だって、ヘリウムにだってしてやる。」

性別を変えらたり見た目を変えられたりするという意味で、女だって外人だってというのは分かるが、最後のヘリウムってなんだよ?すげー適当すぎないか?しかも風船に入れるくらいだから軽すぎてとんでっちゃうぞ.....まぁ、これだけ適当だと、どうせ偽物だろうから適当なことを言ってやろうと思った。凄い適当なことを言えば適当なことを言われた僕の気持ちも分かるだろうと思ったからだ。

「そんならスーパーマンになりたいな、あはははははは。」

と無理に笑いながらなるべく軽く言ってやった。そしたら自称神様が真顔のまま、

「あ、そう、じゃ、今から君、スーパーマンね。あ、それからお茶くれ、喉が乾いた」

と言った。なんだ、この適当すぎる感じは。全く好感がもてない。それでも、僕はこの男がなんでここにいるのかさえ分からないけどお茶くらいは出してやることにした。自称神様は出されたお茶をズズッとすすっていたが何も言わなかった。いつまで居る気だろうか。僕の方もなかなか納得できない状態だけども、とにかく対等に喋れるように、半ばからかうような物言いで

「で、いつからスーパーマンにしてくれるんですか?神様」

と聞いた。そうしたら

「ん?だから、もうさっきから君はスーパーマンだよ。わしは神様だよ。ちゃんと約束守るよ。普通に生きているだけで君はスーパーマンになってる。」

「魔法の杖とかでなんか呪文言って僕が光に包まれたりしてからじゃないの?」

「君の頭は安っぽいな」

と初対面の僕をバカにした。凄い自信があるのは構わないけど、何の説明もなくバカにして終わりかよ。
これ以上聞いても仕方ないだろうから話を次に進めた。

「じゃぁ、もう飛べるの?」

「それは練習が必要だな。とにかくもうスーパーマンになってる。服の下を見ろ。テレビや映画じゃなかったら結構恥ずかしい青いスーツ着てるだろ?」

そういわれて見てみると確かにスーツを着ている。結構薄手だ。試しに服を脱いでみたらマントもしていて、家の中なのにブーツも履いてた。なんでこんなもの今まで着ていて違和感がなかったのだろうか不思議なくらいだった。

「これで、片手で車持ち上げたり、素手で電車止めたりできるの?」

と聞くと、

「それも練習してコツつかめばできるよ」

と言われた。コ、コツが必要なのかぁ......片手で車持ち上げるのも電車とめるのもどちらかというと力技だからコツもなにもないような気がするのだが、まあ、重量上げだってテクニックがあるらしいから必要なのかもしれない。でもコツも必要となると人を助けるにしたってウカツに電車の前にも出られない。しっかり練習しないといけないと思った。

少し外見が気になって、洗面所に行って鏡で自分を見てみると顔は僕のままだけど、首から下はまるで外人で凄いマッチョだ。なんともアンバランスだ。ライオンの体にラッコの顔がついてるような感じだった。

「このアンバランス、カッコ悪いねぇ。正義の味方として仕事するのに見た目が悪いのは嫌だなぁ。」

と苦情を言うと

「正義の味方としての仕事はわしたち神様の仕事だからしなくていいよ、別に。」

という。え?本当にタダでスーパーマンにしてくれたのか。義務なしで?というよりこの物の言い方だと「余計なことをするな」という感じだ。そうなると、いままで通り主夫なわけだが、主夫にはオーバースペックの肉体だ。その神様と名乗る男は本当に神様なのだろうか?とも思った。神様が「主流」とか「わしたち神様の仕事」とか言うのも随分不自然に感じた。神様って沢山いるのだろうか。いるとしたら、こいつは何の神様だろう。河の神様とか山の神様だとするとスーパーマンを何で知ってるんだ?そんなこと考えたら、会話に間ができてしまいちょっと会話がしずらくなったので、間を取ろうと思って

「そんじゃぁ、ちょっと飛ぶ練習でもするかな。」

とぼそりと言った。そうしたら、神様は

「ああ、でも飛ぶって疲れるからな。ちゃんと食べろよ。なんにしろあれだけの運動エネルギーと位置エネルギーを生み出すのだから相当のエネルギーが必要だ。下手すると飛んでる途中で餓死するぞ。気をつけろよ」

と言った。ええええ!神様が作ったスーパーマンは物理法則を無視できないのか?階段上がるのも大変なんだから高く飛ぶにもそれと同じだけのエネルギーが必要ってこと?スーパーマンって結構不便で大変じゃないか!それで僕は飛ぶことをやめて、何をしようか考えたが、なにか気まずい間が出来てしまい、それを解消するためと、独りでゆっくり考える時間をつくるのに、トイレに行くのがいいと思ったので

「ちょっとトイレに行ってきます」

となぜか自分の家なのに、自称神様に断った。すると

「ああ、君のおしっこは流れないぞ」

ってびっくりなことを言ってきた。

「ど、どうして?」

と聞いたら、

「君の体はものすごい質量があるんだよ。そうじゃないと鉄砲の弾を跳ね返したり、機関車を素手で止めたりできないだろう?ある程度の重さがないとあんな芸当はムリ。だからおしっこも水銀並の比重がある。かなり重たいぞ。あ、そうだ髪の毛一本抜いてみな」

というから言われた通りに髪の毛を抜くと、彼は家庭用の量りを持ってきてその上にのせた。するとなんと短い髪の毛一本が100グラムだ!髪の毛一本で凄い質量だ。下手すりゃ抜けた髪の毛が刺さるぞ。スーパーマンっていうより鬼太郎だ。いずれにしろ、この事実から、この男が神様であること、現実がとても深刻であることを真剣に受け入れなければいけないと直感した。

「じゃぁ、なんでいま床が抜けないの?」

「そりゃ、君は飛ぶ能力があるわけだよ。だから知らないうちにその浮力の能力を使ってちょっとだけ浮いてるわけさ。髪の毛は抜けちゃうと君の能力の範囲外のところに行くから本来の重さになるわけだ。」

なんだか軽い物言いの神様がなぜか筋の通ったことを言ってる。とにかくスーパーマンは不便だなぁと思ったがどうしようもなかった。すると神様が続けていう。

「アイス食い過ぎて腹なんか壊すなよ。もしお腹下してトイレに行って勢いよく用をたしたら、便器が壊れるから」

「え?便器が割れるってこと?」

と、悲鳴に近い質問を投げかけると、

「むしろ切れるって言った方がいいな。強力だから武器にもなる、多分」

と、しなくても良い細かい訂正をしやがった!鉄腕アトムのおしりのマシンガンって子供心に恥ずかしかったけど、僕の方は正真正銘心底恥ずかしい。武器になるって言っても、敵を目の前にしてアイス食って、しばらく待ってもらって、場合によってはアイスの追加も必要.....あ~!!!とにかく、凄く凄く凄く不便で絶望的状況だ!!それに反比例してこの神様、凄く凄く凄く軽い!!

「神様よ~、あのさぁ、凄く強靭な肉体を僕にくれたみたいだけど、アイス食べ過ぎてお腹壊すってところは人間のままなのかね。鉄砲の弾を跳ね返すのに何で胃腸が弱いんだよ?胃腸も強くしてくれればよかったのに!スーパーマンの大腸はスーパー大腸だし直腸はスーパー直腸であるべきだろうが?」

「ああ、そうすればよかったなぁ、今度そうするよ」

とさらりと軽く言った。本当に反省してるとは思えなかった。それに、「今度」って....今すぐ僕の体を改造してくれないの?本当に困ってしまった。ああ、やだ!スーパーマンなんて嫌だ~~~~とおもったら、ふっと素朴な疑問がわいた。

「ん?でもおかしくないか?そんなに体が重いってことは、俺それだけ今後も食べなきゃならないってことか?水のんで水銀と同じ比重のおしっこができるの?変じゃないか?普通に生活してるだけで良いって言ってたが、それじゃ質量保存の法則に反していないか?質量は保存されるべきだろう?」

「・・・・・」

「ねぇねぇ、質量保存の法則はどうしたんだ?」

「・・・・・」

黙ったままなので、だんだんイライラしてきて僕は怒鳴ってしまった。

「おい!質量保存の法則!!!!どうなったんだよ!あれは!!」






「.....俺、物理とってないんだ......」


おい!貴様!!さっきまで運動エネルギーやら位置エネルギーやら質量やらと随分な用語だしてたじゃないか。
しかも、なんだ!その、あんまり勉強しなかったけどスポーツと生徒会を頑張って推薦で理系の大学に入学しちゃった学生みたいな言い訳!!怒り爆発でいっぱい反論したくなったけど、ここで折悪く、本当におしっこに行きたくなった。

「ああ、どうしよう。トイレ行きたいけど流れないんだよねぇ、あああああああ、助けて神様~~」

「それ、わしのことか?わしには無理だ」

「無理?神様が無理ってなんだよ~、ああ、本当のもっと偉い神様~~~」


と叫んだところで目が覚めて、しかもトイレに行きたいけど我慢して汗をかいている自分にも気付いた。トイレに駆け込んで事なきをえたし、ちゃんと流れた様だった。

しばらくして冷静になってから、いくら夢とはいえ、僕は寝てるあいだ、スーパーマンのおしっこのことを考えていたのかと思ったら凄く悲しくなった。次回は世界平和に貢献するスーパーマンにでもなりたいものだと今は思っている。
それと質量保存の法則は物理というより化学で教えてもらうことだが、そんな突っ込みそこないも少し悔しいといえば悔しい。






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